帰化とは、外国人が日本人になる手続きで、日本国籍を取得することです。
帰化には3種類が規定されており、「普通帰化」・「簡易帰化」・「大帰化」があり、それぞれに異なった要件があります。
・普通帰化
普通帰化の対象となるのは一般的な外国人で、外国で生まれ、仕事や留学で日本に来ている外国人があてはまります。
・簡易帰化
簡易帰化とは日本との地縁や血縁関係に着目して、住居・能力・生計条件を緩和して帰化を認めるもので、在日韓国人や特別永住者の方、また日本人と結婚している外国人が当てはまり、それぞれに要件の緩和の内容が異なります。
・大帰化
日本に対して特別に功労実績のある外国人に対して許可されるもので、国会の承認により許可されますが、今までに事例はありません。
帰化申請の流れ
帰化申請の流れは、手順が多く申請書類の点検作業でも法務局に複数回足を運ばなければならないこともあり、非常にわずらわしく申請期間も長くかかることが特徴です。
事前相談をしてから「帰化」の許可が下りるまで、審査期間はおよそ一年程度かかると考えておく方がいいでしょう。
また事前相談の段階から様々なヒアリングが行われ、話した内容はすべて記録に残ります。
そのため後から整合性がつかないことなどがあると、「隠しごとをしている可能性がある」という疑いをかけられ、審査に余計な時間を費やすことになったり、最悪の場合は「帰化」申請を受け付けてくれなくなったりします。
仮に申請を受け付けてくれなかったり、不許可になったりした場合にも、相談内容の記録などは保管されるため、以後改めて「帰化」申請する際に不利に働きます。
事前相談に行く前から、しっかりと準備をしておくことが重要です。
【大まかな申請の流れ】
1、住所地を管轄する法務局に事前相談の予約をして事前相談を行う
2、必要書類の収集
3、帰化申請書類の作成と点検、受付
4、面接・家庭訪問・職場訪問
5、法務省での審査
6、帰化の許可・不許可
「帰化」申請書類
帰化申請書は申請者が15歳未満の場合と、15歳以上の場合の二種類ありますが、必要なのは申請者一人につき一枚です。
その他、帰化申請に必要な添付書類がありますが、条件をすべてクリアしていることを証明するために様々な書類を用意しなければいけません。
【母国の書類】
帰化申請者の身元を明らかにするために必要な申請書類となり、明らかにすべき血縁関係などが帰化申請者毎に異なります。
また母国の制度によっても様々な書類がありますので、用意すべき書類は帰化申請者毎に異なってきます。
- 国籍証明書
- 出生証明書
- 婚姻証明書
- 死亡証明書
- 離婚証明書
- 親族関係証明書
- 国籍離脱(放棄)宣誓書
- 本国書類の翻訳文
・・など
【日本での書類】
日本における帰化申請者の身元・財産等を明らかにするための申請書類となり、こちらの書類も帰化申請者毎に異なります。
- 出生届記載事項証明書
- 婚姻届記載事項証明書
- 離婚届記載事項証明書
- 死亡届記載事項証明書
- 日本の戸(除)籍謄本
- 住民票(世帯全員・同居者含む)
- 閉鎖外国人登録原票記載事項証明書
- 出入国履歴(パスポート(旅券)の写し)
- 在勤及び給与証明書
- 源泉徴収票
- 都道府県・市区町村民税納税証明書
- 課税(非課税)証明書
- 預貯金残高証明書
- 技能及び資格証明書
- 賃貸借契約書(賃貸の場合)
- 土地・建物登記事項証明書(所有の場合)
- 年金保険料の領収書などの写し
- 在学証明書・成績証明書
- 運転免許証・運転記録証明書
- 在留カード
- 写真(縦5cm×横5cm)2枚
・・など
帰化申請者が個人事業主・会社役員の場合
自らの事業において安定した生活を送るだけの財政基盤があることを証明しなければならないため、事業年度2期にわたって赤字決算だと難しくなります。
- 事業の概要書
- 営業許可証
- 決算書一式
- 会社・個人確定申告書の写し
- 法人税・所得税納税証明書
- 法人・個人事業税納税証明書
- 固定資産税納税証明書
- 自宅・事務所付近の略図
・・など
中国からの帰化申請
中国からの帰化申請手続きに関しては、主に当事務所が力を入れているサポートになります。
中国人の帰化申請に必要な書類集めで問題になるのは、公証書の収集に時間がかかることです。
出生公証書や親族関係公証書等の、国籍や親せき関係を証明する一部の書類は、日本の中国大使館では取得できませんので、中国の公証処で発行してもらう必要があり、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。
また、中国語で発行された書類は、すべて日本語の翻訳も添付しなければなりません。
中国人の帰化申請における「国籍離脱」と「国籍証書」
日本は、成人の二重国籍を認めていないため、一般的には帰化申請が許可されたら中国国籍の離脱手続きをする必要があります。
帰化申請の要件の一つに「重国籍防止条件」というものがあり、これは帰化しようとする人は無国籍であるか、原則として帰化の許可により、それまでの国籍を離脱しなければいけないという決まりです。
中国人の方は、「国籍証書」をもって、中国籍を喪失したことを証明します。
国籍証書とは、帰化したらその国籍を離脱するという証明書であり、中国では「退出中華人民共和国国籍証書」と呼ばれます。
以前は、この退出中華人民共和国国籍証書を申請した時点で、パスポートが無効となったため、国籍証書を申請するタイミングが非常に重要でしたが、現在では申請時点で中国のパスポートが失効することはありません。
また当事務所ではこのような帰化申請手続きのサポートを中国語でも対応しているため、日本語がまだ得意でない方からのご相談も承っております。